宿場探訪サイクリング

主に東日本の街道沿いの宿場を探訪し、浮世絵に描かれた地点探しもしています。ロードバイクでトロトロとうろついて写真を撮っています。

回想(2) 昭和40年 新宿⇒箱根

 当時、若者の宿泊はユースホステル(YH)が流行っていた。3人で箱根にサイクリングで出かけようということになった。2日目の朝から箱根越えができるように、1泊目は湯河原のYHを予約した。箱根越えはかなりきついが芦ノ湖に出たら対岸の湖尻まで行こうと湖尻のYHを予約した。荷台にはサイドバックをつけてボストンバックを載せて着替えや水筒・菓子などを詰め込んで準備OKになった。


【1日目】
 6時に隣町の友達の家に集合して3人(ヤセ・ヒョロ・チビ)でスタートした。皆どちらかというとキャシャな3人である。外装3段と内装3段と米屋の重い黒自転車が集まった。『米屋の重い黒自転車』って、昭和の中期以前生まれの人は、あっあれね、と分かるくらいに共通のイメージを持っているが、若い人たちはイメージできるだろうか。フレームは太いし荷台はがっちりとした大きなもので、30kgありそうな実用車なのだ。あの自転車で箱根越えに挑戦する友人の意気込みに圧倒された。
 どのコースで国道1号線あるいは15号線に出たか全く覚えていないが、並走は一切せず快調に走った。はぐれたら一巻の終わり。現在のように携帯電話があったら、どれほど精神的な不安が解消されたか。今は便利な時代だよ。“くろがね”や“ミゼット”のオート三輪が何台も自動車に混ざって走っていた。多摩川を渡る時に足がつった。5分程度の休憩で解消し、その後全くトラブルなしで湯河原YHに到着し、夕食後マスターと客10人くらいでパーティー・ゲームを楽しんで寝ることができた。
   
左:くろがね三輪トラック        (写真は日産工機HPより)
右:ミゼット                (写真はWikiより)

 

左:当時は高架はなく、箱根駅伝開催時には京浜急行は時間限定の運行中止の協力をした。踏切のレールにつまづいた走者をTV実況で見たことがあるが、2001年に高架工事を始め、2012年10月21日に完全立体交差になった。     (写真は日経新聞HPより)
右:当時の京浜急行(赤色)               (写真は京浜急行HPより)


【2日目】
 湯河原YHから林道を使って城山から県道75号線に抜ける道を教えてもらった。かなり近道で時間もかなりカットできるので利用した。だんだん心細い道になってきた。不安がよぎる中、先に進んだ。どうやら間違えたようだ。谷の途中で道はなくなっていた。3人とも腰を下ろして引き返すことを考えていた。セミが煩い。セミ時雨なら情緒あるが、まるでセミ豪雨だ。セミが集団で大笑いしているようでバカにされている気分だった。カナカナゼミが多く何か寂しさを誘う。こんなところで遭難か。午前中なのに陽が沈み始めているようにさえ感じた。崖の上の方で何かの音がしたように感じたのでよじ登ってみた。かなり上だが林道があった。3人で1台を運び上げた。やっと3台が林道に出た。かなり時間を費やしたが3人で林道を押し歩き始めた。ヘトヘトになっていくらか広い道にたどり着いた。舗装道路でも漕いで上る力は残っていない。重い足取りで自転車を押して歩いている3人の前に2tトラックが停止した。見るに見かねたのか、話が途中だったのに
「荷台に自転車を積み込め。」 と、運転手さんが言ってくれた。林道発見そしてトラック乗車とラッキーが続いた。峠まで乗せてくれた。あとは漕がなくても芦ノ湖まで快走し、湖畔に出た。ところがヒョロが荷台からバックを途中で落としてしまった。「一人で探しに戻るのでここで待っててくれ」 と、急いで戻って行った。初めて行動がバラけた。19時が過ぎた。20時21時になっても会えない。湖畔の草地に横になったら2人ともすぐに眠ってしまった。
 
※  道に迷って苦労した林道も、今では車で箱根に抜ける道として紹介している。(じゃらんHPより)


【3日目】
 目が醒めると6:00。2人で野宿をしてしまった。会えずに終わった。当時携帯電話があればこんなことにはならなかったのだが、荷物を拾えて待ち合わせ場所を通過して湖尻に行ったのか、拾えずに野宿してしまったのか状況が全く分からない。ふたりともパニックになってしまった。今日は帰る日なので湖尻に行ってからだと間に合わない。湖尻に居なければ最悪だ。ヒョロが湖尻に行ったとしても帰路に向かえばここを通るし、峠で野宿していれば二人がみつけられるし、ということでゆっくりと東京に向かった。いい思いでではあるが後味の悪いものになってしまった。

          新宿               箱根 この先芦ノ湖・湖尻
かなり大雑把な経路と断面図だがこんな感じ。

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